ある検査で犬の視力を測ったところ、犬の視力は最高で0.2程度だったそうです。
視力が0.7以下だと、日本では運転免許取得のために視力検査を受けても合格できません。
犬の視力は、それよりはるかに悪いのです。
しかし、この数字にだまされてはいけないのです。
犬の視力は人間よりかなり悪いですが、焦点がぼやけていようと、こまかな部分が鮮明に見えにくかろうと、犬の目から脳へは数多くの情報が伝達されているからです。
物の全体としての輪郭は見えても、その中の線的なディテールはぼやけたり、見えなかったりと思われます。
犬の視力について理解すると、不可解に思える犬の行動にも説明がついてきます。
たとえば、犬たちが庭にいるとき、私がわざとゆっくり歩いて出ていくと、犬たちは立ち止まってこちらを見つめます。
そのままゆっくり近づいていくと、彼らは2、3歩不安げに足を踏み出したり、身がまえるように地面に伏せたりします。
私が誰なのかよくわからないのです。
だけど声をかけると、たちまち緊張を解き、私に駆け寄ってきます。
そしてフラットコーテッドーレトリーバーのオーディンは、いつもの酔っぱらったような挨拶のダンスを踊ります。
この場面に少し手を加えてみます。
犬たちを探しに庭に出ていくとき、私がいつも外でかぶる、つばの広いカウボーイハットをかぶった場合。
私の姿を目にしたとたん、オーディンはダンスを踊りながら挨拶に駆け寄ってきて、ほかの犬たちもすぐそのあとにつづきます。
なぜ犬たちは最初の例では私を認識できず、第2の例ではすぐさま私を見分けるのでしょう。
最初の例の場合、犬たちは私を目の形や鼻や口など、彼らにはせいぜいぼんやりとしか見えない小さな部分で見分けないといけません。
しかし、第2の例では、すぐに目につく帽子で、私の姿がはっきりわかります。
私の家族の中に、おなじスタイルの帽子をかぶっている者はほかにいません。
それで、視力がそれはどよくない犬たちの目にも、かんたんに見分けられるというわけなのです。
犬たちが私を見分けられなかった例の中で、見逃してならないのは、私が「わざとゆっくり歩いた」という点です。
犬の目はまわりの環境変化に、とりわけ敏感にできています。
なにかが動いたとき、その動きのパターンで正体をつきとめるのは、ハンターにとって非常に重要なことです。
研究結果や身近な経験から見て、犬にすぐれた動体知覚力がそなわっていることは事実のようです。
14頭の警察犬による実験では、犬が900メートル離れた場所からでも、動くものを見分けることがわかりました。
しかし、おなじものがもっと近い場所(580メートル)で動かない場合は、見分けられませんでした。
数年前、私は犬のすぐれた動体視力について、驚くべき実例を目のあたりにしました。
それは私が、グレーハウンドをドッグレースから守る活動をしているチャーリーを訪ねて、フロリダにでかけたときのことです。
チャーリーはこう言いました。
「犬たちはほんとに目がいいんです。なにかの姿を認めると、1キ口先のものでも、見分けます。」
チャーリーは、ジェニーという名の淡い黄褐色のグレーハウンドの頭に、やさしく手を置いて話しました。
「彼らは目がいいので、ものを探しだすのが上手です。
このジェニーは誰かからチャーリーはどこにいる?にと聞かれると、私を探しだします。
たとえ私が1キロ離れた場所で、人に囲まれていてもね」
この言葉に、私の科学者としての好奇心がくすぐられ、私はチャーリーに、いま言ったことを実証してみせてほしいと頼みました。
バーボンのボトル一本を賭けて、チャーリーと友達2人、ジェニー、私は、彼のバンに乗り、近くの砂浜に行きました。
チャーリーがここを選んだのは、カー・レーサーが練習場に使っていて、スタートラインから2.5キロにわたって、1メートルおきに旗が立っているからでした。
チャーリーと友達2人はスタートラインから1キロの地点まで車で移動しました。
3人はその場所で30メートルずつ離れて立ち、黙ってこちらに顔を向けました。
私は「チャーリーはどこにいる?」とジェニーに声をかけました。
ジェニーは自分のすべきことがわかっているらしく、遠くをじっと見つめ、ご主人を探してるようでした。
3人はまったく動かず、ジェニーはひどく困惑したようすで、私は質問を何度もくり返しました。
そこで私は、遠くにいる人たちに向かって、腕を振るように合図しました。
距離がありすぎて、私には女性と男性の区別もつかないほどでした。
しかし、今回は「チャーリーはどこにいる?」と言われたとたん、ジェニーは遠くの3人に目をやり、向かって右側にいるチャーリーに視線をあわせると、まっしぐらに彼のほうへと駆けだしていったのです。
数分後、3人とジェニーを乗せた車が、スタートラインにもどってきました。
チャーリーはすでにバーボンはもらったと、得意げでした。
ジェニーのすばらしい演技で勝負はついていましたが、私は全員にもう一度実験をさせてくれないかと頼みました。
今回は、もっとずっと近い90メートル地点の旗のところで、チャーリーに向かって左側に立ってもらいました。
最初は誰も動かずに。
私は「チャーリーはどこにいる?」とジェニーに声をかけました。
この距離なら、私にも合図を待って立っている3人がはっきりと見分けられました。
ところが、ジェニーは3人にまったく気づかず、ご主人を探してスタート地点をうろつきまわるだけでした。
しかし、3人に腕を振るよう合図したとたん、ジェニーはまちがいなく向かって左側に目をやり、チャーリーのほうへと飛びだしていきました。
つまりジェニーは、1キロ離れた場所からでも、ご主人が動いた場合は見分けられたが、動かないときはわずか90メートルしか離れていなくても、見分けられなかったのです。
犬は動いているものであれば、その動き方や行動パターンでそれが何か?(ダレか?)を見分ける能力がとても優れているのです。
たとえ人間が決めた測定方法で視力0.2だとしても。
「犬も平気でうそをつく?」より引用
動くものを使った視力検査ができるのなら犬の視力はとてつもなく高い数値になるのではないでしょうか?
この記事を読んで思い当たることがありました。
私が、ココ(フラットコーテッドレトリーバー)といつものように長い散歩道を歩いていると、ココがしきりに振り返りながら歩くことがありました。
500メートルくらいはまっすぐな道なのですが、私の目には誰かが後方から来ているようには見えませんでした。
いつもの公園に着いて走ったりして遊んでいると、数分後、同じルートを歩いてくる知り合いのワンコがやって来ました。
ココには、そのワンコと飼い主さんが見えていたのだと思います。
何度か同じようなことがあったのでこの記事を読んでなるほどと思った次第です。
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歩けなくなった子も元に戻りました。
いつまでも愛犬と一緒に散歩が続けられますように。