いまあなたは、誰とベッドをともにしていますか?
といってもこれは、セックスライフにかんする質問ではありません。
四つ足の友だちが、あなたのとなりにもぐり込んでいるかどうかを、訊ねているのです。
最近の調査によると、犬を飼っている人のおよそ半分が、犬を自分と同じベッドで寝かせています。
犬が布団にもぐり込める確率は、飼い主の年齢と性別で違ってきます。
犬と一緒に寝る割合が最も高いのは、18歳から34歳までの女性で、このグループの女性の10人中6人が、犬を自分と同じベッドに入れています。
犬をベッドから追い出す可能性が最も高いのが、45歳以上の既婚男性です。
しかし、このグループでも、犬と一緒に寝ている男性が四割近くいます。
著名人や資産家や権力者の中でも、犬と一緒に眠った人物は多くいます。
古代エジプトのラムセス一世、アレキサンダー大王、ヴィクトリア女王、ロシアのピョートル大帝などなど。
犬と同じベッドで眠ると、心理的に安らげるものです。
かたわらに愛する友がいれば闇の中でも孤独や不安を感じないですみます。
しかし、犬と一緒に寝ることは飼い主にとって犬が好ましくない勘違いをしまう可能性もあるのです。
心理学の世界では、犬たちの群れには厳しい上下関係が存在することが知られています。
軍隊さながらに、司令官である群れのリーダーから最下位の兵卒まで、個体それぞれが階級に分かれているのです。
リーダーの犬は、食物の支配権を握り、優位な場所を自分のものにして、ステータスを誇示します。
リーダーの犬は自分の行きたいところに行き、眠りたい場所で眠ります。
その場所は、ほかの仲間を見下ろせる(そして自分を大きく見せられる)場所なのです。
そのためあなたがベッドの上で眠り、犬が床で眠る場合は、あなたが群れのリーダーであることをそれとなく示すことができるのです。
しかし、犬をベッドに入れると、犬がいる高さはあなたと同じになるため、たがいの力関係は同じと解釈されかねないのです。
その結果あなたのリーダーとしての立場は損なわれ、犬がわがままになったり、言うことをきかなくなったりする場合があります。
そのほかにも落とし穴があります。
群れのメンバーは、リーダーが近づいてくると道を開けて、敬意をあらわします。
そのように数歩引き下がる動作で、自分の地位の低さを認めます。
道をゆずらずにいると、体当たりではじき飛ばされます。
体当たりのおとなしい変化形が、相手に寄りかかることです。
自分の優位を示そうとする犬は、相手に体をもたせかけます。
このとき相手が少しでも動いたら、よりかかった犬の優位性が認められたことになります。
あいにく、私たちは同じベッドで犬と寝ているとき、犬が寄りかかってくると親切心から邪魔をしたくないと考え、自分の体を引いて犬に場所をゆずり渡します。
これもまた、自分のほうが優位と読み取れる信号を、犬に与えてしまうことになるのです。
というわけで、あなたがどうしても犬と一緒に寝るという場合、少なくともあなたが寝返りを打つときやスペースがゆったりほしいときは、犬に場所をゆずらせること。
そうすればあなたの愛犬に、自分のほうが偉いという幻想を抱かせずにすむでしょう。
犬と同じベッドをわけあうときは、べつの問題もあります。
調査によると、夫婦やカップルの片方が犬と同じベッドで寝るのを嫌がり、それがもとで二人の関係にひびが入ったケースが13パーセントありました。
「犬があなたをこう変える」スタンレー・コレン著より引用
ワタシの横には毎日フラットコーテッドレトリーバーのココが寝ています。
暑くて寝苦しいのにくっついてくるので、ワタシは無意識に逃げているようです。
朝になると布団の端で寝ていることもしばしば。
最近、指示に従わないのはこのせいなのかもしれません。