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犬の世界では犬種によって言語が違うらしい。

      2018/04/14

 

犬の言語は、犬の種類によってそれぞれにちがいがあります。

 

「方言」のようなものがあるのです。

 

現在の家庭犬は、狼などの野生の犬族とはさまざまな点で相違があります。

 

最も大きなちがいが、ネオテニー(幼形成熟)と言って、幼い時期の特徴や行動がおとなになっても残る状態です。

 

家庭犬はおとなになっても、つまった口先、つき出た広い額、短めの牙、垂れた耳など、おとなの狼より子狼に似た特徴をそなえています。

 

行動面でも、家庭犬は野生の犬族のおとなより子供のほうに近く、一生のあいだ遊びを求めます。

 

それに加えて、吠える行動はおとなの狼には見られず、子狼の特徴であり、ネオテニー家庭犬の特徴でもあります。

 

じつのところ、家庭犬は犬族の世界のピーター・パンなのです。

 

幼い子犬は無力でおとなに依存しているから、その信号は少なく守られることを目指しており、おとなにたいして服従と依存心を示し、相手の気持ちを安らげようとします。

 

成長するに従って、その言語にもっと社会的な信号が増え始めます。

 

おとなの犬は威嚇のために相手をにらみつけ、唸り声をあげ、相手の体の上に乗ろうとします。

 

これらの信号が現れる時期は、はっきりとちがいます。

 

単純な服従信号は幼い時期に現れ、支配を表わす信号や複雑な服従信号はおとなになってから現れます。

 

このおとなの言語を「狼語」、幼いときの言語を「子犬語」と呼ぶとすれば、狼語を話す犬は子犬語を理解できます。

 

自分も幼いときにそれを話したからです。

 

家庭犬と言ってもネオテニー(幼形成熟)の度合いは、すべての家庭犬で同じわけではありません。

 

ある犬種のネオテニーの度合いを測るには、個体の外見がおとなの狼に似ているかどうかが目安になるようです。

 

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  狼によく似ている犬、たとえばジャーマンーシェパードやシベリアンーハスキーなどは、外見特徴がおとなっぽいだけでなく、行動面でもネオテニーの度合いが低いと思われます。

 

反対に見かけが子犬に近く可愛らしい犬、キャバリア・キングーチャールズ・スパニエルやフレンチブルドッグなどは、外見特徴が幼げであると同時に、行動面でもネオテニーの度合いが高いようです。

 

同じ家庭犬でもネオテニーの度合いによって、おとなの言語能力をそなえる前に成長がとまって子犬語しか話さない家庭犬と、狼語を話す家庭犬では意思伝達が上手くいかない場合があるのです。

 

ある研究によるとネオテニー化の少ない犬種ほど、社会的な問題については数多くの信号や動作による言語を使って、ほかの犬に意思を伝えられるということです。

 

これらの犬たちは攻撃的な信号だけでなく、和解の信号も数多くそなえています。

 

犬のコミュニケーションの目的のひとつは、群れの中で良い関係を築きあげ、双方が傷つきかねない衝突を避けることにあります。

 

つまり、狼に近い犬たちほど反応の幅が広く、社会的順位について微妙な「会話」を交わす能力が高いと言えるのです。

 

それを通じて実際の衝突が避けられるのです。

 

子犬語しか話せない犬種は語彙が少なく、攻撃的な信号よりも、服従的な信号を多く身につけています。

 

だが彼らは、社会的野心や順位を主張するほかの犬の信号に気づかず、自分より優位な犬に屈伏しそびれてしまうことがあるのです。

 

こうした言語的なちがいから、異なった方言を話す犬同士のあいだに誤解が生じるのも、当然のなりゆきなのです。

 

子犬的な要素の強い犬は、社会的な優位性にかんする言語をさほど身につけていないため、相手の重要な信号を見落とすことがあります。

 

語彙が少ない犬は、自分でも気づかずに引き金を引いて、衝突を引き起こしてしまうことがあるのです。

 

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おとなの狼語を話す犬が服従を表わす信号を求めても相手がそれを示さないため、和解は成立せず、実際の攻撃へとエスカレートしてしまうのです。

 

ある一つの例としてご紹介したいのは、スタインベックが以前に飼っていたエアデールテリアの話です。

 

姿形からすると、エアデールテリアはとても狼的とは言えません。

 

彼のエアデールはべつの犬とのあいだで、縄張り争いを続けていました。

 

スタインベックによれば、相手の犬は「シェパードとセターとコヨーテの混血」で、見かけは狼に近かったようです。

 

彼のエアデールがその犬の領域を通りすぎると、かならず喧嘩が始まりました。

 

そしてエアデールは、毎週この灰色の怪物と闘っては、こてんぱんにやっつけられたそうです。

 

そんな一方的な闘いが数ヶ月続いたある日、エアデールにつきが回ってきました。

 

彼は屈強な雑種犬の不意をついて、したたかに痛めつけました。

 

打ちのめされた犬は「うなだれて敗者のコーナーヘ」と退きました。

 

完敗の意を衣わして仰向けになり、自分の弱い部分である腹を見せたのです。

 

そのとたん、エアデールは「武士の礼儀」を忘れ去りました。

 

闘いに勝っただけでは気がすまず、狼の流儀に従って仰向けになり、服従を示して衝突を終わらせようとしている相手に、ふたたび猛然と襲いかかって急所に噛みついたのです。

 

むごたらしい展開になりようやくエアデールを引き離したとき、犠牲者は「父親にはなれない身」に変わっていたのです。

 

狼的な原型から遠く離れた犬が、相手の動作にこめられた社会的な意味を、充分理解できなかったという可能性もありえます。

 

狼語を話す犬にとって、この服従信号は優位な立場を永久に奪われることを意味します。

 

というわけで、この信号は社会的に重要であり、決定的なメッセージになります。

 

狼語につうじていない犬は、そのような社会的信号を充分読みとれないことも考えられます。

 

信号の意味を完全に理解できなかったため、相手の敗北宣言を目にしてもエアデールは攻撃をやめなかったとも思えます。

 

だとすれば、この犬族の伝統と礼儀作法を無視した行為も、言葉を知らなかったことが原因と考えられるのです。

 

もちろん、すべての犬が相手の意思表示にたいして適切に、順当に応じるわけではありません。

 

それは、すべての人が相手の言葉に予想どおり反応するわけではないのと同じです。

 

犬種によって犬語に方言があり、個体によっても反応にちがいがあるのです。

「犬語の話し方」S・コレン著より引用

 

犬同士が出会った時は、仲良くなるまで言葉がつうじているかよく観察する必要がありそうですね。

 - エピソード, 犬の性質